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    ※このコラムは東京新聞(2015年3月3日(火)発行分)に掲載されたものです。
    優しさを歌で運ぶ
    八神純子
     宮城県女川町の「名物お母さん」八木純子さんと、熊本でのチャリティーの話をしていたら鯛焼きの話題になった。仮設住宅のお母さんたちと、サンマをかたどった「さんまnaたい焼」を作る八木さんの悩みは「さんま」の周りにできる生地のはみ出した部分の「バリ」。いちいちそれを切って捨てるというので私が一言。「羽付きってどう?」
     この「羽付き」、実は受け売りだ。昨年、子育てをテーマに講演を依頼された兵庫県加古川市で、教育委員会の方に地元で人気の鯛焼き屋さんに連れて行ってもらった。「羽付き?なし?」。何のことか分からなかったが横で食べる人を見て納得。迷わず羽付きを頼んだ。
     先月二十一日には、阪神・淡路大震災をきっかけに、地球環境を考え続ける神戸の高校生や大学生と、宮城県の高校生が参加するシンポジウムで進行役を引き受けた。話題はエコ生活から発展途上国での女性たちへの援助まで幅広い。
     仮設住宅の人たちが元気でいるためにと考える八木さん、病気でゆっくりしか歩けないのに鯛焼き屋まで連れて行ってくれた教育委員会の方、震災で自然の恐ろしさを知り地球の未来を考える大学生や高校生、東北への復興支援活動で出会った方々に共通するのは優しさだ。
     いただいた優しさをつないでいくには、歌しかない。歌うだけでなく優しさを運ぶ歌い手になりたい。少し欲張りになったみたいだ。